予想外の転勤・配置がえ……実は左遷なのでは?
春は人事異動の季節。転勤や所属部署の変更など社内外での動きが活発になる季節です。
人事異動の中には、意外なものがあるかもしれません。とくに、当事者本人にとっては、「なぜ自分が?」という人事も多いもの。
そんなときに思わず出てしまうのが「もしかしたら、これは左遷なのでは?」という疑問です。
確かに、本人の知らないところで決定される人事には納得できないものもあります。
それでは、本当に不本意な異動はすべて左遷なのでしょうか?
左遷の意味
一般的には、左遷といえば条件の悪い勤務地への転勤や閑職への配置変更を指しますが、これらは法律で決まったことではありません。あくまでも、本人が「今の環境よりも悪い」と感じるのが「左遷」の条件なのです。
本人にとって「環境が悪い」とはどういうことか一概にはいえません。どんな職場にもいいところと悪いところがあるものです。
悪いところだけをあげつらったり、逆にいいところばかりをクローズアップしたりするのも問題です。人間には誰しも「良い・悪い」ではなく「好き・嫌い」で判断してしまいがちなところがあります。
職場の環境が悪いと思っている方も、一度自分の感情を離れて客観的にみれば職場のいいところが見えてくるかもしれません。
そういった思い込みや勘違いを排除すれば、明確に「左遷」といえるケースはかなり少なくなります。
それでも「明らかに前よりも悪くなった」と感じる方もいるかもしれません。会社側は熟考の末人事を決定していますが、だからといってすべての人の感情を考慮しているわけではないからです。会社利益が優先される可能性も否定はできません。
そんなときも、以前の職場のことばかり思い出して後ろ向きになるのは自分にも周りにもよくありません。開き直って新しい環境を楽しむぐらいの強さも必要です。
具体的な事例
合理的な理由で行われた人事を、自分で「左遷」と思い込んでしまうことはよくあります。
たとえば別の部署への配置がえなど、それまでとまったく違う業務に就かされ、それだけで左遷と思いこんでしまった事例もあります。
社員に新しい環境を提供し、ステップアップを図るのも人事の大きな仕事です。やったことのない仕事をやらされ「嫌がらせだ」と思い込んでしまう前に、「もしかしたら、これは会社が与えてくれたチャンスではないか」と考えてみましょう。
また、地方への転勤を「飛ばされた」と考えるのも公正さを欠く見方です。会社勤めの場合、ある程度は「転勤はやむをえない」と考えなければなりません。
どんな場合でも、大事なのは前向きな姿勢です。
たとえ「左遷」と感じたとしても、異動先で前向きにがんばることで周りの心象もよくなり、環境もおのずと変わってくるはずです。
結論
世間で「左遷」といわれている人事は、そのほとんどが当人の思い込みによるものといえます。
企業側は会社の繁栄、拡大を目指してより良くしようという思いから人事異動をして、社員の得意分野を見出すことを心がけています。
まずは心機一転、新しい環境を楽しむことから始めましょう。