出産後、「後陣痛」というものがあることはご存知でしょうか。
名前の通り陣痛のような痛みが起こることを言い、出産当日から多くの場合3~4日程度続きます。「陣痛の痛みに耐えたあとにまだあるの!?」と思わず肩を落としてしまいますね。
後陣痛については先輩ママからもあまり聞くことがなく、直前になって両親教室などで知ったというパターンも多いです。
知らないよりは知っておいたほうが心の準備も出来ますので、ぜひこの機会に後陣痛についても覚えておきましょう。今現在、後陣痛に悩まれている方にも参考になればと思います。
後陣痛の基礎知識
後陣痛とは、子宮が収縮する際におなかが痛むことを言います。出産後、大きく伸びた子宮はたった12時間で一度小さくなったあと、おへそあたりまでの大きさになります。その後一ヶ月程度かけてゆっくり元の大きさに戻るのです。
このときに感じる痛みを後陣痛と言います。痛みの程度は個人差が大きく、「耐えられないほどの痛みだった」という方もいれば「よく分からないままだった」という方もいます。
また、経産婦のほうが痛みを強く感じやすい傾向があります。子宮も2回目以降となると伸び縮みしやすくなっていて、収縮しやすくなっている分痛みを強く感じてしまうのです。
とはいえ元々個人差、出産時の差が大きいものです。2人目以降のほうが陣痛は楽だという方が増えますので、その分後陣痛の痛みを強く感じるのかもしれませんね。
後陣痛が痛い原因は
大きくなった子宮が元の大きさに戻ることにより起こる痛みですから、むしろある程度の痛みは正常であるとも言えます。
子宮が元に戻ることを「子宮復古」といいますが、これがうまくいかないと「子宮復古不全」となり、医者の助けが必要となってしまうのです。
後陣痛は自然分娩だけに起こるものではありません。無痛分娩、帝王切開どちらも起こります。「帝王切開のほうが傷がある分痛みが強い」など言われることもありますが、このあたりも実際は個人差が大きいところですね。
授乳中に痛みが増す可能性もあります。授乳中はオキシトシンというホルモンが分泌され、このホルモンが子宮の収縮を促しているのです。
後陣痛はいつからいつまであるの?
後陣痛が始まるのは出産当日、直後から痛いという方もいます。
「生理痛のような痛みだった」「陣痛がまた来たのかと思った」など、痛みの感じ方も強さも個人差が激しく、逆に「言われてみれば子宮あたりが重かった」などほとんど痛みを感じない方もいます。
こればかりは実際に後陣痛になってみないと分からず、また「2人目以降でも出産のたびに違う」との意見もあります。一番多く見かけるのは「陣痛ほどではないけど痛かった」という意見ですね。
痛みが強いのは1~2日、長くても3日でほとんどの方は痛みがなくなります。とはいえ1週間以上痛みがあったという方もいますので、痛みの期間も人それぞれというしかないのです。
後陣痛の痛みは徐々に減っていくのが普通なので、もし出産直後のような痛みが数日経っても治まらない場合はお医者さんに相談しましょう。
後陣痛は我慢しすぎる必要はない
子宮の収縮により起こるものであり、後陣痛により身体が妊娠前の状態に戻っていっていると聞くと後陣痛の痛みは耐えなければならないと思ってしまうかもしれませんが、そんなことはありません。
産院でも伝えてもらえると思いますが、後陣痛が痛い場合は素直に看護師さんやお医者さんに相談しましょう。授乳しながらでも飲める鎮痛剤などを処方してもらえます。
人によっては赤ちゃんのお世話もつらいほどの痛みがあります。自然なことだからと我慢していては、ママにとっても赤ちゃんにとってもいいことはありません。
退院する頃には落ち着いていることがほとんどなので問題ないと思いますが、続いている場合は退院前に一度相談してみるのも良いですね。
後陣痛の対処法
後陣痛は子宮が元の大きさに戻るための自然な痛みです。
とはいえ陣痛のような痛みが数日続くのは、ちょっと想像するだけでもつらいですよね。後陣痛を直接なくすことは出来ませんが、好きなアロマの香りなどでリラックスするのは良い対処法だと思います。
産後は気持ちが不安定になりやすいので、少しでも安らげる環境を作っていきましょう。
またハーブティーなど温かい飲み物もおすすめです。血行をよくすると痛みも和らぐので、おなかのまわりも温めておきましょう。
産後は入院中も授乳などでなかなか落ち着けませんが、ほんの少しでもこういったゆとりある時間を作っていけると良いですね。
後陣痛でお腹が痛いその時は…
後陣痛を予防することは出来る?
後陣痛を予防することは基本的には出来ません。後陣痛の痛み自体が子宮が元に戻るために必要なものであり、子宮復古が万全に行われないほうがよほど問題があるのです。
「出産後24時間飲食しなければ良い」など言われるケースもありますが、確実なものかは疑問な上に、出産という大仕事をこなし今後も体力が必要なこの時期です。無理に栄養摂取を我慢する理由はどこにもないと思います。
さいごに
後陣痛は情報もあまりないまま「陣痛の痛みに耐えたのにまだあるの!?」と思ってしまう方も多いですし、出産と違って「痛みに耐えれば赤ちゃんと会える」といった希望もないため、より強く痛みがつらく感じてしまう方が多いです。
しかしこの痛みは自分の身体のためであり、決して無意味なものではありません。
また耐えられないような痛みを無理して我慢する必要はなく、痛い場合は相談すれば鎮痛剤も処方してもらえます。
陣痛同様、日本人は我慢が美徳と思ってしまいがちです。
この時期に大切なのは赤ちゃんとママです。対処出来るものは我慢せず、看護師さんやお医者さんに相談してくださいね。