産後は身体が妊娠前の状態に戻るため、様々な変化が訪れます。
その一つとして「悪露(おろ)」があります。
妊娠前に悪露について知っている方は少なく、「そんなものがあるの!?」と驚く方のほうが多いイメージがあります。
悪露は出産で身体が受けたダメージの回復や妊娠前の状態に戻すためには必要なことです。対処をきちんと行っていればさほど気に病むものではありません。
今回はこの産後の悪露について、詳しくお話していきます。
これから出産に望む方、悪露について気になる方はぜひご覧になってくださいね。
産後の悪露についての基礎知識
悪露は、産後すぐから一ヶ月ほど続きます。
出産が終わり、役目を終えた子宮の内側や産道の傷口などから出る粘膜や分泌液、血液などが混ざったおりもののようなものが生理のような形で排出されます。
子宮を元に戻すためにも必要なことであり、基本的には生理のときと同じように対応しておけば問題ありません。
悪露はどうして出てくるの?
先程も軽くお話しましたが、悪露は妊娠や出産で大きく変化した子宮を元に戻すためにも必要です。
妊娠中大きくなった子宮は、出産が済むと空っぽになります。ここから大きさを元に戻し、妊娠前の状態にすることを「子宮復古」と言います。胎盤や卵膜が剥がれた場所はもちろん出血していますので、子宮を収縮することにより血を止め、不要な分泌物や血液を体外に排出しているのです。
この排出されたものが悪露になります。
「出産が終わったあとも血液が出るなんて」と不安に感じる方もいますが、悪露自体はむしろ身体が元に戻るために必要なものです。あまり気にせず、気楽に構えていましょう。
悪露はどんなものでいつまで続くの?
悪露は個人差はありますが、大体1ヶ月ほどで収まります。
子宮が元に戻ればその分分泌物も減っていきますので、産後1週間もすれば血液の色はかなり分からなくなります。その後どんどんおりもののような黄色っぽい色になり、そこから白色になって完全になくなります。
もしこのように変化せず2週間以上血が混じっていたり、1ヶ月以上経っても悪露がなくならないようであれば子宮復古が上手く出来ていない可能性があります。この場合は速やかにお医者さんに相談しましょう。
悪露の変化について、以下にまとめておきます。一般的に多く見られる変化なので、少しずれていたり違っていても先程の問題がなければ気にしないで大丈夫です。
●産後2~3日
出産直後から2~3日の間は子宮の傷も塞がっておらず、子宮口も開いた状態です。悪露の量は多く、血液の色も濃いです。
独特のにおいがあり、産褥パッドを使用しておいたほうが安全です。産褥パッドは産院でもらえることがほとんどですが、事前に調べておきましょう。
●産後3~8日
傷が塞がってくるので、色が真っ赤な血液から褐色のようなものに変化します。この頃には悪露の3/4は排出されていますし子宮口も閉じてきますので、色も量もどんどん減ってくるのが一般的です。
産褥パッドのような大きなものは要らなくなるので、生理用ナプキンで対応します。
●産後2~3週間
子宮内の傷は治り、内膜も再生します。出血はほぼ止まり、血の色がなくなります。それにあわせてにおいも弱くなるので、この頃には悪露に気づかなくなる方も出てきます。
この時期になってもまだ血液の色がある場合、お医者さんに相談したほうが良いでしょう。
●産後4週間
子宮口は完全に閉じます。色はほぼなくなり白っぽく無臭になりますので、気にならなくなる方が多くなります。
ここから更に1週間ほどで完全に消失します。この時期にまだ大量の悪露が出ている場合は、速やかにお医者さんに相談しましょう。
悪露の治療法
悪露は子宮を治すための手段であるとも言えますので、悪露をなくす治療というものは存在しません。
しかし悪露の量やにおいなどから子宮復古不全(子宮復古が上手くいっていないこと)を診ることは出来ます。子宮の戻りが悪いと母体にとっても非常に危険ですので、なにかおかしいと思った場合は速やかにお医者さんに相談してください。
子宮復古不全が起こる状況は様々です。胎盤の一部が子宮に残っている場合やお産が長引き子宮が弱っている場合、子宮内の感染症、巨大児や多胎妊娠、羊水過多だった場合など、様々な原因が絡んでいる場合があります。
いずれにしても悪露の変化や量で気づけますので、先程の一般的な悪露の変化と大きく違う場合はお医者さんへ相談してくださいね。
悪露の対処法
悪露は自然に止まるのを待つしかありませんので、量の多い入院中は産褥パッドや産褥ショーツを使います。
「生理用ショーツでも良いのでは?」という方もいますが、産褥パッドを使わなければならない産後数日は産褥ショーツがあったほうが良いですし、看護師さんに手当てしてもらうときにも簡単に扱えます。入院中だけでも良いので用意しておきましょう。
産褥パッドとは、生理用のナプキンをさらに分厚く吸収力を高めたようなものです。ベビー用品売り場のマタニティコーナーなどでも販売されていますし、入院する際に産院で用意してもらえる場合もあります。
産褥パッドを必要とする頃は当然ママは動けませんので、事前に調べて準備しておけば困ることもありませんね。
退院後は産褥パッドではなく生理用ナプキンで代用できる程度になっていることのほうが多いので、いっぱい用意してしまうと余って困ることになるかもしれません。
緊急時は病院に売店などあれば置いてあることもありますので、やはり事前のリサーチが大切です。
予防方法はあるの?
悪露は子宮が妊娠前に戻るために必要です。
子宮が収縮し悪露が出ることによって子宮の掃除をしているとも言えるのです。
悪露の排出は必要なことであり、予防方法というものはないのです。
特に産後数日は悪露の量も多く、血液の色をしているので驚かれるかもしれません。量も1週間ほどでかなり減ってきますし、それからはどんどん血の色も薄くなるのであまり気にせず気楽に過ごしましょう。
さいごに
妊娠・出産と身体は大きく変化し、またダメージも受けています。
悪露や後陣痛は身体が妊娠前の状態に戻るために必要なことであり、あまり心配せず準備だけしっかりしておきましょう。
産褥パッドは病院でもらえることが多いので、ほんのわずかな期間のためだけになってしまいますが産褥ショーツだけ用意しておきましょう。洗浄綿は産院によって使う使わないが違いますが、目的は清潔にしておくことです。清潔に過ごしていれば問題ないと思います。
もし気になることがあれば、入院中はもちろんいつでも産院に相談してみましょう。退院後で急ぎでないと思う場合は、1ヶ月検診の際でも良いと思います。
退院後は赤ちゃんとの生活も始まり、何かと忙しく悩みも多くなる時期です。相談して解決しそうなものは、あまり悩まず周りを頼っていきましょう!